刑事モース~オックスフォード事件簿~(Endeavour)
ミステリーの本場イギリスで「シャーロック・ホームズ」と並ぶ人気を誇る「モース(Morse)」をご存知でしょうか。
イギリスの推理作家コリン・デクスターによって書かれた、1975年の「ウッドストック行き最終バス」で初登場。
その後1986年から「主任警部モース(Inspector Morse)」としてドラマ化され、約14年間に渡り愛され続けたキャラクターです。
「主任警部モース」についての記事はこちら
2006年にはモース警部の部下であったルイスを主役としたスピンオフ作品「オックスフォードミステリールイス警部」が放送され話題となりました。
2012年からはモースの若かりし頃を描いた「刑事モース~オックスフォード事件簿~」が製作され現在シーズン7までが放送されています。
今回は、「刑事モース~オックスフォード事件簿~」についてご紹介していきます。
主任警部モースを見ていなくても楽しめる?
このドラマ、「主任警部モース」を知らない方でも充分楽しめる内容となっています。
ところどころに「主任警部モース」ファンを楽しませる演出はありますが、ストーリー自体には全く影響がないほどささやかで気になることはありません。
物語としては若き刑事が捜査にあたる作品ですが、モースの推理力が高く、1話からクロスワードパズル、暗号のような文字が出てくることから刑事ドラマ好きだけでなく探偵ドラマ好きにも嬉しい内容となっています。
作者のコリン・デクスターはクロスワードパズルの鍵づくりの名手としても知られるため、物語もパズルのように真相に近づいていくのが特徴。
特に本格ミステリー好きの方におすすめしたい作品です。
他のミステリー作品と違うのは、オックスフォードという大学都市が舞台であるということ。オックスフォード大学は、現存する大学の中で世界で3番目に古い大学であり、英語辞典でも有名ですよね。
日本ではイメージがつきにくいかもしれませんが、大学都市とは住民のほとんどは学生か大学関係者という状況で、人間関係もやや特殊な環境です。
そして「主任警部モース」「ルイス警部」でも感じたのですが、このシリーズはとても映像が美しいです。
特殊な人間関係の中で行われる捜査も面白いですし、オックスフォードの雰囲気も美しく、流れる音楽もクラシックやオペラ、聖歌隊の声なので私はいつも映画を見ているような気分で観ることができます。
「主任警部モース」でのモースはやや偏屈な面もありましたが、「刑事モース」では若く素直なところがあり、「刑事モース」の方が感情移入しやすいかと思いますので、初心者さんにこそこのドラマを堪能していただきたいです。
「刑事モース」を見終えたらこの順番で関連作品を見てみよう
「刑事モース」を見てハマった!という方は、関連作品を見てみると長く楽しめますよ。
・ストーリーやオックスフォードの雰囲気が好きな方
⇒「ルイス警部」⇒「主任警部モース」
・主人公モースが好き、クラシックやオペラが好きな方
⇒「主任警部モース」⇒「ルイス警部」
・探偵小説が好きな方
⇒小説を読む⇒「主任警部モース」⇒「ルイス警部」
「主任警部モース」のエピソードは、原作がある作品の方が私は好きでした。
数年前には手に入りにくかった小説ですが、嬉しいことにKindle版も出ています!
Amazonさんで「ウッドストック行き最終バス」で検索すると出てきます。
主任警部モースファンも楽しめる?
元々「主任警部モース」のファンだった方が気になるのが配役だと思います。ジョン・ソウ(John Edward Thaw)さんのモースを愛していた方は特に。
でも安心してください。
主任警部モースファンももちろん楽しめます!
私もジョン・ソウさん演じるモースが大好きだったので、見始めて5分くらいは落ちつかない気持ちでした。
ジョン・ソウさんが小柄で白髪だったのに対し、若かりし頃のモースを演じたショーン・エヴァンス(Shaun Francis Evans)さんに小柄な印象はなく、髪の毛も茶色、あたりまえながら声も違う!と思ったのです。
しかし、見ているうちに表情や話し方が似ているな、顔立ちも目元や横顔が似ているかもと感じはじめ、物語が始まって15分もしたら何の違和感もなくなっていました。
おそらくこの役者さん、ジョン・ソウさんのモースをよく研究されたのでしょうね。
はじめから突っ走った推理をして何度も間違いながらも犯人を見つける流れや、真面目な顔をして女性に惚れやすく、物静かに口説きだすところもそっくりでしたよ。
そして上司が最高に良い!
このシリーズではモース、ルイス、ハサウェイ、と主役級のキャラクターの魅力が深いところが素晴らしい点でしたが、今回相棒となるフレッド・サーズデイ警部補もとても魅力的なのです。
正義感が強く、警察組織に染まらず確固たる自分を持つ彼を見ていると、この人と共に過ごしたからこそモース警部ができたのだ、と想像できます。
警部時代のモースが好きだった方も是非見ていただきたいです。
作中では詩を口ずさんだり、オペラが流れたり、個人的には「ルイス警部」よりも「主任警部モース」のドラマの雰囲気に近かったと思います。
モールス信号でできている?エンディングの謎
「主任警部モース」から引き続きあの懐かしのエンディングが流れます。
実はこの音楽には秘密があるのです。
主旋律が始まる前に流れる高く不規則な音、これは実はモールス信号でつくられたメロディなんですよ。
今回のエピソードでは、モースが以前外人部隊の通信隊にいたと発言していて(主任警部モースの時からその設定あったかな?)おおっ!と思ってしまいました。
エンディングに使われているのはモースの綴りMORSE。モールス信号(Morse code)の綴りとも同じなのです。
アルファベットのモールス信号を調べてみると、以下の図となるよう。
モールス信号 出典:総務省子供向け電波利用ホームページ「デンパ君のピピッ!おもしろ電波教室」中休み「モールス信号」より https://www.tele.soumu.go.jp/kids/break/break1.htm
MORSEを書き出してみました。(綺麗に書けなかった。。。)
線の長さが音の長さと考えて、エンディングテーマを聞いてみてください。
ね、ミステリーファンの心をくすぐる音楽でしょう。
まとめ
長年気になっていた「刑事モース」。
ジョン・ソウさんではないけれど、丁寧に作られたストーリーに美しい映像、忠実に再現された人物像に胸が熱くなりました。
イギリスで本当に愛されているシリーズなのがよくわかり、この作品も本当にモースが好きな人たちが作ったのだろうと思います。
英国ミステリーの中でもクオリティの高い作品なので、一人でもその面白さに触れていただけると嬉しいです。
イギリスドラマ初心者さんは、こちらの記事も参考にしてくださいね。